マコちゃん⑧
休日の朝はトーストと目玉焼きで決まり。テレビに映ったパンケーキより、私はこっちの方がずっと好きだ。天気もいいし、久しぶりに広々公園行きたいなあ。

「広々公園かあ。あそこ広々してて気持ちいいんだよな。」

事件から数週間が経ったある日、私たちは揃って釈放された。マコちゃんが当選金をはたいて示談を成立させたからだ。マコちゃん、ごめんね。せっかく当てた宝くじ、ほとんど使わせちゃって。

「いいんだよ、そんなことは。それより、どうしてあんなこと。俺、まだ信じられないよ。お前やお袋が、あんな仁義なき戦いみたいな事件起こしたなんてさ。」

もうしないから。安心して。

「当たり前だろ!シリーズ化だけはやめてくれよ。」

あの日以来、そーみー亭は休業中。マコちゃんもソミってる様子はない。私は日常を取り戻した。こうしてコーヒーを飲みながら、寝ぐせのついたマコちゃんを見てると、同い年なのに年下に見える。そう、この感じ。欲しかったのは前から知ってるこういう時間。もうずっとこのままでいたい。そう願った。マコちゃん?

「なに?」

ありがとう。

「うん。もうわかったから。」

マコちゃんはそう言うと、冷蔵庫に向かって歩き出した。そして、味噌を持って戻って来ると、スプーンですくい、目玉焼きの上にボトッと落とした。

「やっぱ目玉焼きには味噌だよな。コーヒーにも入れちゃお。」

そう言って今度はコーヒーの中にボトッ。いやあぁぁぁぁーーーー!!私は思わず悲鳴を上げた。

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